科学者が感心する『天使と悪魔』の“ホンモノ”度

『天使と悪魔』について熱弁するロン・ハワード監督
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『天使と悪魔』(5月15日全世界同時公開)に登場する世界最大規模の素粒子物理学の研究機関「セルン」が実在するって知っていた? 劇中と同じくジュネーブにあり、正式には「CERN:欧州原子核研究機構」と言うのだそう。

大ヒットした『ダ・ヴィンチ・コード』(06)や『天使と悪魔』の原作者ダン・ブラウンが描く本シリーズは、事実と虚構を巧みに融合させた物語が最大の魅力だが、このセルンまで実在すると聞いてびっくりである。

セルンにて、本来自然界にはほとんど存在しない“反物質”が作られ、それを使って「イルミナティ」という集団がヴァチカンでテロを繰り広げる、というのが本作の物語だ。そんな世界最新鋭の研究機関について、来日したロン・ハワード監督が語ってくれた。

「実は僕、セルンに行ったんだよ。そして物理学者たちに会って、いろんな話を聞いたんだ」と、すんなり答えてくれたハワード監督。

え? マジですか? それでは、“反物質”も実際に作れたりするんでしょうか?

「彼らに反物質について僕に説明してくれと頼んだところ、それを作るのに使用する“大型ハドロン衝突型加速器(LHC)”とやらもあるらしいけど、やはり(劇中に登場するくらい)あんなに大量には作れないと言っていた。科学的には可能らしいが、莫大な費用がかかるし、時間も必要だから、今すぐ作れるものではないと。そういう説明を受けたよ」

なるほど興味深い。ちなみに反物質といえば、「スタートレック」や「宇宙戦艦ヤマト」などのSFシリーズでも耳にするものだが、SFには見えない本作で登場したので新鮮だったのだ。実際、『天使と悪魔』で反物質が作られるシーンは、原作小説よりも映画の方がよりダイナミックだった。さすがは『アポロ13』(95)などSF映画の演出にも長けたロン・ハワード監督! アカデミックな演出が冴えていた。

ところで、この反物質、自然界の物質と接触すると“対消滅”を起こして発火するので、イルミナティはそれを使ってヴァチカンを街ごと吹っ飛ばそうと目論むのだ。当然、反物質を持ち運ぶ際には特殊な容器に入れて運ぶのだが、その容器も映像化するに当たって、セルンの科学者が見せてくれたものを参考にしたと言う。尚、その後日談が面白い。

「完成した映画を50人くらいのセルンの物理学者が観てくださって、非常に出来がいいとお褒めをいただいた。もちろんサイエンス・フィクションの映画だけど、科学的な観点から観ても非常にクオリティが高いと言われたよ」と、ロン・ハワードは嬉しそうに語った。

“科学と宗教”をテーマにした『天使と悪魔』。それは、ダン・ブラウンの原作がもつ力に加え、ロン・ハワード監督の徹底的なリサーチに基づいた“画”作りにより、一層見応えのある映画に仕上がった。ド迫力の本作を、ぜひ腰を据えてたっぷりと堪能して。【Moviewalker/山崎伸子】

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