行儀がいい映画なんて「チョーツマンナイ」“矢口映画”の作り方

矢口史靖監督
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『ウォーターボーイズ』(01)や『スウィングガールズ』(04)、そして『ハッピーフライト』(08)と、次々にヒット作を飛ばし続ける矢口史靖監督の作品は、“愛しさ”が鑑賞後に残ることに気づかされる。そんな娯楽映画を作り続ける監督に「矢口映画ができるまで」を聞いてみた。

まず、矢口映画の流れを簡単に説明すると、まず脚本が仕上がり、配役決定、それから絵コンテ…の順で進めていく。特に絵コンテは独特で、「役者をイメージして描くのではなく、(監督の)身近な人を当てはめていき、よりリアルな設定に仕上げていく」のだそうだ。

「僕の知人をキャラクターに当てはめ、イメージを膨らませていきます。そうすることで現実味のあるセリフが浮かんでくるんです。その後に俳優の魅力を混ぜていき、ベストモードに作り上げていきます」

さあ、いよいよ撮影本番。そこでも監督ならではの“ワザ”を使い、俳優を納得させることで、予想以上の面白い映像が撮れるのだという。

ここで、「ボールを投げたら速球で打ち返してくるみたいな、瞬発力の演技が欲しいとき」に使うという監督のテクニックを一部、紹介しよう。「例えば『ハッピーフライト』では、飛行機に雷が当たって田辺誠一さん扮する副操縦士が情けなく叫ぶシーンがあるのですが、『夜中に裸足でシュークリームを踏んづけちゃった感じ』みたいな、映画の流れとは関係ない指示をだすことで、“いい顔”を撮ることができるんです」

今までの作品を振り返ると、出演者陣の過剰に感情がこもった表情が目立ち、心に残るシーンが多いと感じている人も多いのではないか。そうしたサービス過剰な演出について監督は「娯楽映画の醍醐味として皆さん楽しんでくれていると思います」と続け、最後に「お客さんより行儀がいい主人公の映画なんて、チョー、ツマンナイ!! 僕は“いい子”ちゃんばかりが出てくる映画は退屈しちゃうんですよ」と締めくくった。

なるほど、確かに出てくる登場人物は“ちょっと駄目で小憎らしい”小市民なキャラクターばかり。それは「身近な主人公に感情移入してもらえるからこそ、日常では味わえないワクワクを自分の事のように体験できる」という監督の思いから生まれるものなのだ。

こうした監督のこだわりを知ることで、一度観た映画もまた違った角度からも楽しめそう。まずは5月22日(金)より発売される『ハッピーフライト』のスタンダードクラス・エディション(3990円)、ビジネスクラス・エディション2枚組(6300円)、ファーストクラス・エディション2枚組(9240円)をチェックして!【MovieWalker/須藤民子】

『ハッピーフライト』DVD&Blu-rayは、5月22日(金)より発売
発売元:フジテレビジョン/アルタミラピクチャーズ/電通
販売元:東宝

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