いい意味で裏切る男、松山ケンイチのナチュラルな魅力

映画「ウルトラミラクルラブストーリー」で、初めての恋に猪突猛進する農家の青年、陽人を演じる松山ケンイチさん。幼稚園の町子先生(麻生久美子)に恋をした陽人はなぜか農薬を浴びることで、不思議なパワーを手にいれるという“ウルトラミラクル”な展開の物語。撮影秘話をお聞きしました。

「脚本を読んだときは、すごいぶっ飛んでるな、ファンタジーだな、と思いました。最初は深く考えず、農薬を浴びること=ドラッグのようなものを意味しているのかと思ったんです。でもやってみたら全然違った。監督とはそれがどういう意味を持っているのかを、特に話してはいないんです。ただ、陽人の動きについては、ドニ・ラヴァンという俳優さんの動きを参考にしてほしいというのと、子供と一緒にいるシーンが多いので、子供たちの動きを参考にしてほしいということを言われました」

ドニ・ラヴァンは「ポンヌフの恋人」やオムニバス映画「TOKYO!」の一編など、鬼才レオス・カラックス監督の作品で知られる、フランスの超個性派俳優。

「ラヴァンさんの映画は『ポンヌフの恋人』と『汚れた血』を見ました。とても参考になりましたけど、ちょっと言葉に表しにくい動きですよね」

どこまでも素直で、次々とミラクルを引き起こす陽人。この不思議なキャラクターを、どう受け止めていたのでしょうか?

「陽人は、自分の世界に生きている人ですね。それをゆがませないし、崩すこともしない人なんだと思って演じていました」

撮影は松山さん自身と横浜聡子監督の出身地である青森県で行なわれました。青森出身の監督が、青森で撮るということにひかれたとか?

「おもしろいキャラクターだし、おもしろい脚本だし、それを青森で撮るということもおもしろい。あと、なんとなく農業をやってみたいというか、土をいじりたいと思っていたら、まさにそういう話だったので驚きました。撮影中はキャベツ畑に埋まったりして楽しかったです。この作品を見て思ったのは、青森はきれいだなということ。ゴミゴミしてなくていい。やっぱり自分にとっては一番の場所なんだな、ってことですね。リラックスできました。もちろん仕事で行ってますから緊張ははしてますけど、でもリラックスもしている。なんだか変な感じでしたね」

いつもは演じるときに相当考えて、作りこんで演じてるようですが、今回は考えるより、感じて演じたんですか?

「はい。まったく考えてないですね、僕(笑)。でも、感じ方はそれぞれかもしれないけれど、最高の映画になったと自分では思っています」

この春まで放送されていた「銭ゲバ」の風太郎や、映画「L change the World」のLなど、松山さんは死を迎える役を多く演じています。一方で「ウルトラミラクルラブストーリー」では、陽人は死んでもおかしくない状態で、なぜか生きつづけていますね。

「そういうキャラクターを演じる機会が多いのは、自分の中に“何か”があるからだと思います。もしかしたら、僕がいま死について考えないといけないということなのかもしれない。『銭ゲバ』で風太郎が最後に感じたことと、『ウルトラミラクルラブストーリー』で陽人が感じたことは、僕の中ではまったく真逆でしたね。でも結局は同じことでもあるんです」

松山さんのこの言葉の意味するところは、ぜひ作品を見て確かめてほしい。1つ言えるのは、必ずしも死は悲劇を意味するわけではないし、生と死はつながっているということ。

この映画のあとにも、秋には大作「カムイ外伝」や「ナクシタキオク」の公開が控えるなど、多忙な日々が続きますね。元気の源は?

「友達と遊ぶこと。あとは寝ること。友達とは酒を飲みに行くんだけど、あまり酒自体は飲まないで、話をしていることが多いです。そうそう、12時間くらいぶっ続けでゲームをしたいですね。子供のころはずっとゲームをやっていると『もう寝なさいよ』って言われたけれど、いまなら好きなだけやれるわけだから、時間があるときにがっつりやってみたいですね」【シュシュ記者/石津文子】

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