マイナス40度!浅野忠信命がけ撮影の裏側

写真右から木村大作監督、浅野忠信、蟹江一平
  • 写真右から木村大作監督、浅野忠信、蟹江一平

『八甲田山』(77)、『鉄道員』(99)など、数多くの作品で素晴らしい映像を残してきた名カメラマン木村大作が初監督に挑んだ『劔岳 点の記』が6月20日(土)より公開される。

常々「映画はこだわりで成り立っている」と言い続けてきた木村監督が、何よりこだわったのが“本物”を撮ること。

「劔岳のある立山連峰から臨む富士山の映像なんていうのは、15年に1度見られるかどうかの奇跡なんだけど、我々はそこに遭遇した。だけど、ただ都合よく遭遇するかっていうと違う、スタッフも出演者も山にこもって忍耐強く待ち続けるから遭遇するんだ。劔岳の頂上(の映像)にしてもそう。映画人生長いけど、何かを撮影して『撮った!』と思ったのはこれが初めてだね」と語るとおり、CGや空撮は一切使わず、実に200日以上の月日を費やして撮影された。

そんな監督と行動を共にし、明治時代に日本地図を完成させるべく、人跡未踏の劔岳山頂を目指す実在した測量手・柴崎芳太郎の軌跡を追体験したのが浅野忠信だ。

「僕が演じた柴崎は、軍の上層部から測量を命ぜられたことで劔岳に挑んでいるけど、それが僕らの場合は撮影だっただけで、境遇は似たようなものなんですよ。だから、山を登りながら、彼の気持ちを理解していきました。確かに、彼が歩んだ道は簡単なものではないし、アクシデントにも見舞われるんだけど、彼はそれを楽しんでいたんじゃないかと。同様に、僕自身も途中から困難を楽しんでいたように思います」

そう振り返った浅野だが、こんな本音も。「登頂した時は『これで明日から山に登らなくていいいんだ』とほっとしました。体感温度マイナス40度の世界ですし、大変なことだらけ。日々、恐怖との闘いでもありましたね。でも同時に言葉には表せない妙な充実感もありました。自分にとって確実にプラスになった撮影でした」

そんな浅野が遭遇したあるエピソードを教えてくれた。「標高3000メートルでの撮影時、僕らが泊まる山小屋をすごい嵐が襲ったんです。都会の嵐とはまったく別モノで、別の場所から山小屋に集まったスタッフが『昨日なかったところに川が出来てた』なんて言うんです。そしたら監督は『絶好の撮影日和だから行くぞ!』って(笑)。その日の撮影はハンパなく大変で、スタッフは飛ばされそうになるし、必死でカメラを保護している。そんな中、監督は大声で『もっとこっちだぁ!』『あっちだぁ』と叫んでいるっていう。あれはすごかったです」

猛吹雪で先が見えない中を歩くキャストたち。それを撮影するスタッフ。何度も自然の厳しさにぶち当たる一方で、普段は味わえない雄大な自然にも遭遇した。

宇治とともに案内人役の一人・山口役に扮した蟹江一平も「空気が綺麗なので、どんどん肉体も精神も濾過(ろか)されていくんです。五感も研ぎ澄まされていくような、そんな撮影でした」と体験を語る。浅野も「都会では見られない美しい景色に何度も遭遇しました」と教えてくれた。

最後に監督が「47都道府県をキャンペーンでまわって4000通近い感想を読んだんだけど、手応えを感じている。観てもらえば、その良さは伝わるはず。ぜひスクリーンで観て応援してほしいよ」と満面の笑みで締めくくった。

いよいよ山開きならぬスクリーン開きを迎える本作。“劔岳”に登ったキャストたちが体現する男たちのドラマを体感せよ!【MovieWalker/大西愛】

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