エレファントカシマシ宮本浩次ロングインタビュー[5/9]

「『最大のストレート』を目指しております」
  • 「『最大のストレート』を目指しております」

<第4回より続く>〜10/1(水)新曲「新しい季節へキミと」発売〜

―ストレートということで言えば、以前から一貫してずーっとストレートだと素人の耳には聞こえるわけですけど、おっしゃった「いまのストレート」っていうのは、つまりは“ますますストレート”というのは、

「フフ、アハハハハ」

―どんな、差があるわけですか。いままでのストレートと。

「“ストレート違い”なんですよ! あのね、ストレートって、なかなか届けるのが難しくて。基本的には曲ができたらまず、なるべくライブでみんなに聞かせるようにはしてんだけど、レコーディングする段になると、そのときの演奏のテンションとかさ、体調とかさ、気分とかさ、そういうものによってかなり印象は変わってきます。また、環境や、サウンドによっても変わる。例えば、『町を見下ろす丘』と『STARTING OVER』の手触りの違いね、同じバンドなのにもかかわらず1〜2年でこれほど違うのは、サウンドの捉え方、アレンジャー、環境、が違うから。僕らが自分たちでやったものと、人とやったもので違うし、人によっても曲の捉え方って違うし。そういうなかでの、“ストレート違い”なんです。で、僕は、『最大のストレート』を目指しております。って言っちゃうとなにしろ『ストレートってなんだろう』という問題でもありますので、非常に難しいんですが、でも、『ガストロンジャー』だってストレートだし『ファイティングマン』だってストレートだし、『俺たちの明日』も『桜〜』も『新しい季節へキミと』もストレートなんですが、より『幅広いストレート』を目指してるわけでございます。それを求めて探りながら進んでいるわけです。僕は、ポップミュージックというものを考える時、いや、なんでもそうなんですけど、非常に大衆性があって、“紋切り型”のものってすばらしい、と思っているんです。ありふれた言葉でも、誰かが、あるシーンで恋人に言われたら、涙が出るほど感動するかもしれない。ポップミュージックってそういう側面があって、親友ひとりだけに歌っている曲が、特別な言葉じゃないのに、たくさんの人に伝わることがある。そういうものが作れたらっていう思いで、『俺たちの明日』も『桜〜』もこの『新しい季節へキミと』も作ってまして、で、ストレートな曲を、ちゃんとストレートに歌うと、ポップなものとして、広く伝わる。うまくいってないストレートもあれば、うまくいくストレートもあるんですね。なんだ全部ストレートじゃないか、おかしいじゃないかってことにもなりかねないんですが(笑)、でもそういうニュアンスはあるんですよ」

―「うまくいかない」ストレートっていうのは、例えばどんな曲なんですか?

「ま、単純に練習不足だったり、こういうこと言っちゃいけないですけど自分にとってもまだその曲をやるべき時期じゃなかった、もっと追求する時間が必要だったということもある。残してみないとわかんないんですけども。残してみたら思った通りの形になってなかった、ということは確かにあります、ま、別の深い話になっちゃうんだけど。でも今回の曲は非常に方向性が明快ですから、メロディと歌詞と、それが持つメッセージを、一番わかりやすい形で届ける方法ってなんだろうということに焦点を絞ってるわけでございまして、そういう意味ではストレートがうまくいっている例だと思います。はい」

―“ありふれたもの”の話が出ましたが、ありふれたものが持つポップさこそ、すばらしいと。

「僕の曲っていうのは、こう言っちゃうと難しいんですけど、非常にポップなテーマを歌っております。1stアルバムの1曲目の『ファイティングマン』から『デーデ』、これがまたストレート違いで、僕らの模索が始まったエレカシの歴史のスタートなんですけれども、僕の中では『ファイティングマン』も(2ndアルバムの)『太陽ギラギラ』や『おはようこんにちは』もストレートで、例えば『今宵の月のように』がうまくいって『ファイティングマン』や『おはようこんにちは』がストレートに届かない理由っていうのは、深く考えてしまうと全くわからないです。『なんで麻酔が効くのかわからない』と誰かが言っていたけど、それと同じくらいわかんない。ただ、デビュー以来ずっと僕はポップなテーマを歌っているつもりで、エレファントカシマシには、というか僕には、その模索の歴史があるということです。はい」

【東京ウォーカー/滝本志野】

<第6回へ続く>

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