熱いハートをもつ男、玉木宏の魅力

第二次世界大戦末期の太平洋。敵の姿がお互い見えないなか、日本の潜水艦とアメリカの駆逐艦が死闘を繰り広げる。現在公開中の映画「真夏のオリオン」で戦争映画に初出演した玉木宏さんに、撮影秘話をお聞きしました。

「戦争映画というのは映画の中で必要なジャンルだと思うんです。僕たち、そして戦争を知らない若い世代に事実を伝えるためにも。だから今回はリアルさを出すということにこだわりました。僕が演じた倉本という人物は橋本艦長という実在した方がモデル。その部下だった中村さんという方が現在84歳で京都にいらっしゃって、クランクイン前に会いに行きました。中村さんは、映画の中では一番若い鈴木という乗組員のモデルなんですけど、映画を見ていただき、当時を思い出してリアルに感じたとおっしゃっていただきました。戦争自体はこれからもあってはいけないことですが、『真夏のオリオン』は悲しさだけを伝えるのではなくて、生きる希望とか、明るい未来が見える戦争映画だと思うんです。生きるために必死で戦った人たち、という見え方になればと思って演じていましたね。そういう意味では、いままでの日本の戦争映画とは違った切り口の作品になったと思うんです」

実在の人物をもとにした、それも戦争という生死が一瞬で決まる世界に生きる人間を演じるのは、緊張したのではないですか?

「テーマとしてすごく大事に扱わなければいけないと思うし、実際に戦争を体験された方たちが見て当時を思い出したり、こういう人たちがいたからこそ、いまがあるんだ、ということを感じてもらうことが、僕にとっては一番嬉しいことですね。だから、そこに近づけるためにすごく必死でした。だからこの仕事が自分の中に占める割合っていうのは、すごく大きかったですね。ほかの作品では、僕はわりと役柄にどっぷり浸かることはないんですけど、『真夏のオリオン』では、撮影の1か月半、本当にこの作品のことで頭がいっぱいになりました。ふだんはカットがかかると自分に戻れるんですが、今回は私語を現場で話すことが全然なかったですね」

まじめで、とことん演技に集中してしまうという性格のようだけれど、気持ちを落ち着かせてくれる趣味があるそうですね?

「前からそうですけど、カメラがけっこう好きですね。写真を撮りに出かけたりとか、カメラを持ってドライブしたりすることが、一番気持ちを落ち着かせてくれるので、好きかな。ロケにもカメラは持っていきますよ。空を撮るのが好きです。夕景とかすごくきれいだと思うし、光ぼうというのか、雲から射してくる縦の光がすごく好きだったりもして。家に暗室もあるので、モノクロの場合は自分で現像もするんです」

話をお聞きしていると、とても前向きな印象を受けます。

「そうありたい、という意識は持ってますね。もともとの性格もありますけど、仕事をするようになって、より強くなりましたね。表に出る人間はブレてはいけないと思うし、個人的なことでテンションが上がったり下がったりしたくない。常に一定でありたいって思うので。でないと芝居もできないと思います。」  

平常心でありたい、いつもフラットな状態でありたいと。その秘訣は?

「自分の趣味だったり、好きな食べ物だったり、自分が楽しいとか気持ち良いとか思うことに触れることが、絶対に大事だと思います。僕も仕事だけやっていたら煮詰まってしまうと思うし、煮詰まった時はドライブに出たり、友だちとご飯を食べに行ったり、そういう普通の時間をしっかり持つことじゃないでしょうか」【シュシュ記者/石津文子】

■「真夏のオリオン」
TOHOシネマズ日劇ほかで全国公開中

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