二階堂ふみと大杉漣、『蜜のあわれ』の現場で共鳴!

『蜜のあわれ』の二階堂ふみと大杉漣にインタビュー
  • 『蜜のあわれ』の二階堂ふみと大杉漣にインタビュー

室生犀星の小説を、石井岳龍監督が映画化した『蜜のあわれ』(4月1日公開)で、共演した二階堂ふみと大杉漣。描かれるのは、室生犀星自身を想起させる老作家と、少女の姿に変貌する金魚の秘められた恋、という何とも魅惑的な物語だ。お互いに刺激を受け合ったという2人にインタビュー。

二階堂は金魚の赤子役について、現場で感覚的に作っていったと言う。「言葉にあまり意味をもたせずにやりたいと思っていて、そこは意識し、現場でいろいろと試しながら、楽しくやらせていただきました」。

赤い衣装をまとい、無邪気に動きまわる彼女を初めて見た時、大杉は「あ!赤子がいる」と思ったそうだ。「立ち上がってふっと動いた時、赤い衣装がひらひらと揺れていて。金魚がいる!と思ったんです。初日に、すごく良いスタートが切れました」。

二階堂は、赤子については実態のない役だととらえた。「老作家がこれまで出会ってきた、女性たちであったり、作家の思いや欲望、コンプレックスだったりと、いろんなものが混ざり合って産まれたものが赤子なのかなと。だから、決して理想だけではないんだろうなと」。

また、老作家については「ずっと身を削って自分と向き合い、作品を生み出し続けてきたことは、ものすごく大変なことだったと思います」と感心する。「そういう作家としての格好良さや、闘い続ける姿は、素敵です。また、一見、固い作家に見えるのに、実はすごく人間らしくて、愛嬌がある。作家としても、人間としても、男性としてもいろんな顔が出てきますが、こういう人だからこそ、『蜜のあわれ』が書けたんだろうなと思いました」。

大杉は、二階堂の出演作をいろいろと観ていて、いつか共演したいと思っていたそうだ。「それがこんなに早く実現するとは思っていなかったし、石井(岳龍)さんとは30年来の知り合いですが、現場でごいっしょするのは初めてでした。30年来の思いもありましたし、石井組で、初共演の二階堂さんと良い時間が過ごせた1カ月弱でした」。

二階堂も、自分がいままで出せなかったものを出すことができたという充実感を口にする。「大杉さんは大先輩だけど、同じ俳優部として、同じラインに立たせてくださったので、ありがたかったです。もちろん、ロケーションや、澤田石和寛さんが作ってくれた衣装であったり、石井監督であったり、撮影部の笠松(則通)さんであったり、照明の岩下(和裕)さんであったり、関わった全員のおかげだとも思っています」。

大杉は、二階堂や、真木よう子ら若い共演者から得たものはとても大きかったと振り返る。「僕は、俳優になって42年です。最初は、舞台俳優として出発しましたが、42年もやってきたという感覚は正直ないんです。改めて思うのは、自分が何をやってきたかということが、おそらく現在につながっているということだけで。そういう意味で、作品1つ1つなんです。自分のキャリアがどうこうではなく、スタッフ・キャストと共同作業をして、現場で闘える刺激感がたまらないんです」。

大杉は、64歳となっても、うろたえ続けていると告白。「64歳で、大いにさまよっている自分がいる。『蜜のあわれ』の老作家もそうですよね。何か大きなものを獲得した訳ではないのですが、とにかくうろたえているんです。“表現の沼”というか、そのなかでさまよいうろたえ続けているのです。今後も健全な体とさまよえる精神がある限り、俳優でいたいと思っています」。

二階堂は、大杉に、たくさん引き出しを開けていただいたと感謝する。「現場で大杉さんと初日から最後まで過ごした時間は、本当にかけがえのないものでした。大杉さんが大きく構えてくださったからこそ、私はそのなかで自由に動けたんです。私は大杉さんの背中を見て、大先輩が作ってきたものをちゃんと受け継がないといけないという気持ちになりました」。

独自の存在感を放つ名バイプレーヤーとして活躍してきた大杉漣と、いまや飛ぶ鳥をも落とす勢いを見せる若手女優の二階堂ふみ。2人は、『蜜のあわれ』の共演で、共に深い映画愛をもっていることを実感し、共鳴し合ったことが、ひしひしと伝わってきたインタビューだった。【取材・文/山崎伸子】

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