今の仕事に生きがいを感じていますか?「天職」に近づくための考え方

『好きなことが天職になる心理学』(中越裕史/PHP研究所)
  • 『好きなことが天職になる心理学』(中越裕史/PHP研究所)

「今の仕事が、まさに自分にとって天職。忙しくとも毎日が充実していてワクワクする……そんな働き方が理想だけれど、しょせん甘い幻想に過ぎない。今の仕事が自分に合っていないと薄々気づいていても、自分をだましだまし続けるしかない。でも、本当にこのまま一生を終えてしまっていいのだろうか……」そんな悶々とした悩みを抱えている人にぜひ読んでもらいたいのが、『好きなことが天職になる心理学』(中越裕史/PHP研究所)。やりたいこと探し専門心理カウンセラーの著者は、「やりたいことを見つけたい。好きなことを仕事にしたい」というのは人間として当然の感覚で、決して甘い子供の理想論ではないと説く。

 そうは言っても、天職に向かってつき進むには、さまざまなことが足かせとなって一筋縄ではいかないだろう。「今の仕事が辛い。やりがいのある仕事がしたい」と思っても、「辞めることは逃げではないか」という思いが頭をもたげてきてしまう。著者のところへ来る相談者も、「仕事を辞めたいなんて、自分は弱い人間だ……」と自分を責めているケースが多いそうだ。でも、そういった人は、ブラック企業のような過酷な労働条件の中で、ずっと我慢して耐えてきた真面目な忍耐型が多いという。

仕事を辞めることは、悪いことではありません。弱いことでもありません。ましてや、逃げでも敗北でもない。大切なのは、「仕事を辞めることを、別の道を模索するための、きっかけにできるかどうか?」「辞めることをきっかけに、自分の生き方、働き方を、一から考え直せるかどうか?」。本当に大事なのは、そこなんです。

 では、自分がやりたいことがイマイチわからない人はどうすればいいのだろうか。本書では、天職を見つけるための5つの質問が用意されている。そのうちのひとつをご紹介しよう。

「今日という1日、好きに過ごしていいなら、どんなことをしますか?」

 ショッピングや映画に出かける、家でごろごろするなど答えは人それぞれであっても、おそらく多くの人が遊んで過ごしたいと答えるだろう。でも、これが次のような質問に変わったらどうであろうか。

「今日からあと50年、好きに過ごしていいなら、どんなことをしますか?」

 さすがに50年間も毎日ごろごろ遊んで暮らすのには、恐怖を覚えてしまう。少しは人の役に立ちたいと思うのが自然な考えであり、心理学的にも人間は自分の人生に意味を求める存在であるらしい。そのため、天職探しには「残り何十年という人生を、どのような形で他人のために役立ちたいか」と考えることが、ひとつの指針になるという。

 天職について考えることは、自分の生き方について考えることにつながっていく。私たちは、世の中の多数派であることに安心感を覚える傾向がある。「みんなそうするのが普通だから」といった考え方が、人生の決断に大きな影響を及ぼしている。しかし、安易に世間一般のレールに乗っかるのではなく、自分の価値観を軸にして生きることの大切さを本書では訴えている。単なる天職探しの本ではなく、自分らしい幸せな生き方の指南書と言っていいだろう。自身も悩み抜いて天職につくことができた著者の本音や弱さもさらけ出し、ひとつひとつの不安に寄り添って解消してくれる。ハッとさせられる言葉にもたくさん出会えた本だった。読み終えると、カウンセリングを受けた後のようにスッキリした気持ちになり、現状から一歩踏み出す勇気が湧いてくるはずだ。

文=ハッピーピアノ

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