デザイナーを直撃!「Chef」セットに隠された秘密

「Chef~三ツ星の給食~」(毎週木夜10:00-10:54、フジテレビ系)のセットツアーを行ったデザイナーの笹朝斐氏
  • 「Chef~三ツ星の給食~」(毎週木夜10:00-10:54、フジテレビ系)のセットツアーを行ったデザイナーの笹朝斐氏

現在放送中の天海祐希主演ドラマ「Chef~三ツ星のレストラン~」(毎週木曜夜10:00-10:54フジテレビ系)のセットツアーが湾岸スタジオで行われ、セットのデザインを手掛ける笹朝斐氏(美術制作局所属)にインタビューを敢行。

「週刊ザテレビジョン42号」(10月12日発売)のドラマ特集内でも、セットを通したドラマの世界観を語ってくれた笹氏。今回は、セットに込められた思いから、デザイナーを目指すきっかけとなったエピソードなどを聞いた。

――まず、自己紹介をお願いします。

美術制作局に所属する、笹朝斐です。フジテレビの専門職採用で入社5年目になります。最近でいうと「ようこそ、わが家へ」('15年)、「5→9~私に恋したお坊さん~」('15年)、「早子先生、結婚するって本当ですか?」('16年)を手掛けました。

――今回のセットツアーでは、光子(天海祐希)の自宅、篠田(小泉孝太郎)のオーナー室、荒木(遠藤憲一)の自宅である居酒屋が公開されましたが、笹さんが一番工夫したセットはありますか?

光子さんは一番料理に集中している方です。平野(眞)監督からも「生活感があまり見えないようにしたい」という希望があり、洗面台などは一斉映さず、キッチンだけを飾りこむという形にしました。ベッドルームとかもかなり質素にしていて、そういった点は結構工夫しました。

あと、光子さんの部屋など、いろんなところにフランスカラーをこっそり取り入れようということも話しました。光子の出演シーンにはポイントとして赤をちょこちょこ入れているという隠れエピソードもあります。

――光子の部屋は何をイメージしてデザインされているんですか?

1話の冒頭で鹿を狩猟に行くシーンがあったんですけど、元々の光子さんの裏設定としてフランスの各地を回っていて、その風土に合った調理方法を勉強していたという設定があります。なので、木目とかを使うなかであまり色のついていない、木地の素材そのままの木目とかを使おうとしてセットにもそういったものを選びました。

あと、光子さんはこだわりが強い人なので、新鮮なものを自分で調理したいとか、キッチンには“料理ラボ”的な意味合いもあります。キッチン周りで野菜を育てて、ソースとかを作って研究しているような感じにしています。

――監督とはどういった打ち合わせをしてきましたか?

平野監督は、役者さんにもそうですが「自由に動いてもらって、いいところをすくい上げる」というタイプの方だと思っています。監督は「キッチンをメインにしたい」とかの要望はデザイナーに対しても言うんですけど、それ以外の野菜の棚とか、ワインセラーとかについてはそこまで言ってこないです。あとは、図面を一緒に見ながら楽しんでやってきました。

――「Chef―」のセットについて、監督と一番盛り上がったのはどこですか?

篠田(小泉孝太郎)のオーナー室にあるサンドバッグですね。ゴールドのサンドバッグがなかったので、合皮を張りました。サンドバッグが実際につられた時、監督は結構喜んでましたね。

あとは居酒屋です。ああいった汚しの効いたセットが監督は好きみたいです。ガスコンロは新品だったので、装飾さんと一緒にしょうゆをバーナーであぶって焦げ目とかつけたりして、かなり古い状態にしていきました。新品だったものを全て汚して。自分で作るのは私も大好きです。

「もしかしたら、ちゃんと気付いてくれる人がいるかも」と思うとわくわくしますね。そうやって気付いてくれる人がいると、ドラマを真剣に見てくれている人がいてうれしいなって思います。

――そんな篠田のオーナー室には、ヨーロッパ調のものが多い印象を受けました。

一応、監督と「アンティークっぽいものを置きたいね」と話していました。特に篠田の部屋には、色味を工夫していて、応接セットの皮を濃いめの赤っぽい色に張り替えたりだとか、少しいやらしい感じを出したりしました。篠田の計算高さを考えて、その辺はこだわりました。

チームを組む装飾さんは基本的にデザイナーは指名で入るので、その方とは何度かやっているので信頼関係もできているんです。

――そうしたセットの仕掛けという意味では、給食事務室にある子どもたちのメッセージが書かれたテーブルも印象的ですが、あれも笹さんのアイデアでしょうか?

そうなんです。あれはどうしてもやりたくて(笑)。このドラマの台本ができる前に、実際のいくつかの給食室に自分で連絡して見せてもらった時、給食室には「子どもたちの声」みたいな張り紙とかがものがすごく多かったんです。

なので、そういう要素をドラマのセットの中にも入れたいと思っていて、「あの給食おいしかった、ありがとう」みたいな感じで児童がテーブルをプレゼントしたというような設定にしました。あれは美術スタッだけではなく、助監督、演出部、制作部、スケジューラーの方たちにも職種を問わずみんなで書いたテーブルなので、とても思い出深いですね。

――手作りといえば、光子が自ら作ったという設定の屋台も登場しますよね。

屋台は、大道具さんと話し合って滑車をつけて、光子でも軽々運べるという仕掛けを作りました。工場などに発注しないで、私と大道具さんの二人で1週間以上かけて手作りで作った屋台です。材料もホームセンターで調達したものを切ったりして、光子が作ったという設定を演出しています。

ドラマにある「7万円で(屋台を)作った」というせりふは、長部(聡介)プロデューサーが「あれは実際にいくらで作ったの?」と聞いてくれて、その単純な材料費がせりふとして足されました。

あと、光子が屋台を引くシーンでは、屋台の中を全部抜いて引いてもらおうと思っていたんですけど、天海さんご本人が「そのままでやりたい」とおっしゃったんです。みんなで「大丈夫かな」と思っていたら、本当に動いたので驚きました。ワインのボトルとかも入ってたんですよ。

――それは驚きですね(笑)。ところで、デザイナーに進もうと思ったきっかけは何だったんですか?

「Dr.コトー診療所」('03年フジテレビ系)のオープニング映像で、廃墟の状態から小道具やセットだけがどんどん再生していくという感じの画を長回しのワンカットで撮っているのがあったんです。それを見て、背景で物語が語れるのってすごいなって思ったんです。

元々は建築学科だったんですけど、そのオープニングを見た時に進路変更をしました。商店街のお米屋さんとかの内装や裏庭とか、建築でもそういったものが好きだったんです。

――なるほど。そんな笹さんの将来の夢をお聞かせください。

夢の最中にいる感じなんですね。あとは師匠もいるので早く追い付けるようにしたいです。ネットとかの情報はありますけれど、やっぱり今回のセットツアーのように視聴者の方に実際に会って喜んでもらえると、温度感がすごく伝わって「やっててよかった」と思いました。

■11月24日(木)放送の第7話は、屋台の繁盛を喜ぶ一方、光子(天海)は「鴨のコンフィ」以外のメニューも提供したいと考えるようになっていた。また時を同じくして「ネオ・ビストロ・ラ・レーヌ」を成功に導いていたオーナー・篠田(小泉孝太郎)は、新たな策略を考える。

「Chef~三ツ星の給食~」
毎週木曜夜10:00-10:54
フジテレビ系で放送

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