ハリー・ポッター最新作! スリザリンに組分けされた息子・アルバスが、マルフォイの息子と過去を変える冒険に出かける!

『ハリー・ポッターと呪いの子 第一部・第二部 特別リハーサル版』(松岡佑子:訳/静山社)
  • 『ハリー・ポッターと呪いの子 第一部・第二部 特別リハーサル版』(松岡佑子:訳/静山社)

 目の前にしか道は作れないのに、人は過去を悔い、変えられたらと願う。もし、魔法で過去を変えることができたら、今はどう変わるのだろう、と誰もが一度は想像したことがあるだろう。全世界で4億5000万部を超える大ベストセラー『ハリー・ポッター』シリーズの最新刊では、ハリーの息子・アルバスが過去を変える冒険に出かける。

『ハリー・ポッターと呪いの子 第一部・第二部 特別リハーサル版』(松岡佑子:訳/静山社)は、J・K・ローリング氏がオリジナルストーリーを書き下ろし、2016年7月にロンドンで初演された舞台劇の脚本を書籍化した作品。かつては幼い子どもだったハリー・ポッターもこの作品ではすでに37歳。前作『ハリー・ポッターと死の秘宝』で繰り広げられた19年前のヴォルデモート卿との戦いは辛く厳しいものだったが、戦いに勝利をおさめた後、「英雄ハリー・ポッター」として、夫として、父親として生きていくこともとてもとても大変であるようだ。魔法省の役人として激務に追われながら、ハリーは子どもたち、特に次男のアルバスとの関係に思い悩まされている。

 どのような学校が待ち構えているかという不安と期待を胸にホグワーツ魔法魔術学校に入学した次男アルバスが組分けされたのは、ハリーが所属していたグリフィンドールではなく、闇の帝王・ヴォルデモート卿などを輩出したスリザリン。そして、そこで仲良くなったのは、ハリーの宿敵だったドラコ・マルフォイの息子・スコーピウス・マルフォイだった。ハリーとは正反対にも思える道を歩み出すアルバスは、周囲からの視線に苦しみ、スコーピウスもまた父親に関連するとある噂に苦しめられることになる。学校を嫌い、劣等感ばかり募らせ続けるアルバスは、ある日、ふとしたことからハリーと闇の帝王との戦いに巻き込まれて死亡したセドリック・ディゴリーの存在を知る。「父さんは間違いも犯した。大きな過ちも。僕はその一つを正したいんだ。僕たちでセドリックを助けたいんだ」。スコーピウスとともに、過去の時間に戻れる「逆転時計」を使って、セドリックの死んだ過去を変える冒険に出たアルバス。けりをつけたはずの過去と再び向き合わねばならなくなった時、ハリーはどうするのか。ヴォルデモートがいない世界でどういうわけかハリーの額の傷が疼き始める。

 この作品は、これまでのシリーズのような小説形式ではなく、脚本形式で書かれている。そのためか、登場人物たちはよりいきいきと描き出され、まるで実際にハリー・ポッターの舞台を見ているかのような気持ちにさせられる。ハリーをはじめとして、親友のロンやハーマイオニー、宿敵ドラコ・マルフォイなどの懐かしい顔ぶれももちろん登場! 過去を巡る冒険が描かれているため、シリーズ中で死亡してしまったあのキャラクターも再登場する。ハリー・ポッターシリーズを一度でも読んだことがある人はこの最新刊の魅力的なキャラクター、そして彼らが織りなす魔法に魅了されてしまうに違いない。

 この作品の登場人物はみな輝いているが、特にドラコ・マルフォイの息子スコーピウスには誰もが虜になることだろう。スコーピウスはあのドラコ・マルフォイの息子とは思えない優しい少年だ。親とも兄弟とも分かりあえないでいるアルバスにとってかけがえのない存在だ。過去をめぐり、現在を変える旅に出かける2人は、セドリックが死んだ過去を変えることができるのだろうか。

 トンビからタカが生まれれば、誰にとっても幸せなことだが、劣等生として誕生した「二世」はあまりにも辛い。息子・アルバスの葛藤。父親・ハリーの葛藤。大人になったハリーたちが経験するビターな物語は、大人の胸にこそ、響くものがあるかもしれない。

文=アサトーミナミ

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