2回目のデートが「宝くじ売り場」? 通称・クジ男が理想の相手!? リアリティを詰め込んだ胸キュンマンガの決定版『今日の婚のダイヤ』

『今日の婚のダイヤ』(草川 為/白泉社)
  • 『今日の婚のダイヤ』(草川 為/白泉社)

 この年になっても独身だなんて思わなかった……。なんて、遠い目をしたことのあるアラサー女性はいませんか? トクベツ理想が高いつもりはない、ただ心ときめく相手と出会って結婚したいだけなのに気づいたら30歳手前。おかしいな、適齢期になったら自然と誰かに出会って結婚すると思っていたのに。と自分の来し方を振り返った経験のある方におすすめのマンガが『今日の婚のダイヤ』(草川 為/白泉社)。恋と結婚に悩んだことのある女性必読、ときめきを取り戻すための一冊です。

 主人公の豊川のぞみはハイスコアな顔面偏差値と女子力を誇り、仕事もそれなりにきちんとこなし、彼氏づくりには困ったことのない、婚活市場ではハイスペックな女子だった。だがしかし、「この私が結婚するのだから」と厳しく見定めていた結果、あっというまに29歳。周囲からも「理想が高すぎるせいで結婚できない」と言われながら、“心がときめく素敵な相手”を探す日々。だけど現れるのは2回目のデートで宝くじに並ぶような、ぱっとしないエキストラ男ばかり……。ところがそんな矢先、つきあいで買った宝くじで5千万円をあててしまうのです。そんな彼女に両親は言います。「思ったより結婚しないからマンションでも買ったらどうか」と。

 ここからの心理描写が、本作は実にリアル。素敵な誰かに出会いたい、だけどどこに行けば出会えるのかわからない。この先が心配だからマンションくらいほしい。けれど、そんなものを買ってしまえば男にモテなくなる。でも……と煩悶するのぞみは、決して激しく悩んでいるわけではないのです。アラサーともなると、女子は経験値から、何事にもある程度の冷静さで対応できてしまうもの。そこには一種の諦めが滲んでいるともいえます。心を無駄に揺さぶられたくない。だから、決められない。舵をきれない。

 焦りに焦って結婚を求めるのならばまだいい。目的に向かって突っ走ることができる。だが、ぼんやりなんとなく結婚したくて、“誰か”に出会いたくて、求められる女性になりたいと願っている限りは、なかなか決断することができないのです。だからのぞみは、少し前の彼女なら絶対に危険を察知していただろう相手、既婚者であることを隠した外面男になびいてしまうのです。

 そして、そこでようやく気づくのです。自分は冷静だったのではなく、冷静さを装っているだけだったと。心の奥底で渦巻いている自分の気持ちをスルーしてきていたせいで、本当に大事なもの、自分がほしかったものが何か、見えなくなっていたことに。

 既婚者と気づいたとたん、速攻で縁を切るのぞみは、凛々しくかっこいい。30年を生き抜いてきた女のプライドがそこにあるからです。表向きのかわいらしさだけではない自分の本質を認め、受け入れることのできた彼女は、そこで初めて“本当の理想”に出会えます。彼女の“かわいらしさ”ではなく“かっこよさ”を愛してくれる唯一無二の男性に。それこそが宝くじに並んだ男――通称クジ男。不器用で、スマートな行動がとれるわけじゃない。だけど彼は、とことん実直で優しくて、のぞみのことだけを愛してくれるのです。そんな彼とともにいるうちにのぞみは、結婚の内側にある本当の幸せを体感していくのです。20代と30代の境目にいる女性の圧倒的なリアリティと、憧れがつまった『今日の婚のダイヤ』は、まさにアラサー女子のための胸キュンマンガなのです。

文=立花もも

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