こんなお隣さん欲しい! ご飯を作りすぎて持ってきてくれる女子に癒される『ご飯つくりすぎ子と完食系男子』

『ご飯つくりすぎ子と完食系男子』(揚立しの/幻冬舎)
  • 『ご飯つくりすぎ子と完食系男子』(揚立しの/幻冬舎)

 可愛い女の子が隣に住んでいて、おかずをおすそ分けしてくれる。アニメや漫画などで度々描かれる光景だが、今時1人暮らしの女子が大して知りもしないお隣さんを訪ねていくなんて、実際にはそうあることじゃない。ワンルームマンションだったりすると、隣にどんな人が住んでいるのかも分からない、という人だって少なくないはずだ。

 しかし、よく描かれているということは、「王道」だということ。それはつまり、憧れる人が多いということだ。実際、本当に起こったら警戒はしてしまうだろうが、他意がないと分かれば嫌な気はしないだろう。筆者なら、むしろ嬉しい。

『ご飯つくりすぎ子と完食系男子』(揚立しの/幻冬舎)は、そんな憧れのシチュエーションを手にしてしまった男子・平瀬と、そのおすそ分けをしてくれるお隣さん・荻野の物語。OLをしている荻野は、なぜかいつもご飯を作りすぎてしまう。しかも少しではなく、鍋単位の作りすぎというボケっぷり。そして平瀬は、食べ盛りの大学生だ。

 だが、荻野が初めて「作りすぎ」を持って登場した時、平瀬はあまりの二次元的展開に危険を感じて拒否してしまった。しかし、その時傷ついた様子で帰っていく彼女を見て罪悪感を覚え、翌日からは素直にお言葉に甘えることにした。ここから、2人の関係は始まっていく。

 荻野は、料理を作りすぎてしまうだけで、腕は確か。イカと大根の煮物やカレー、ナポリタンなど、どれをとっても絶品で、平瀬はあっという間に完食してしまう。それがまた嬉しくて、荻野は次の料理を手渡す。

 2人が共有しているのは、彼女が作りすぎたご飯だけ。途中からは一緒にも食べるようになるが、最初のうちは別々に食べている。しかしお互いがそれを意識することで、まるで家族のような、同じ時間を共有しているような、温かい繋がりが生まれていく。その不思議な距離感が見ていて心地よく、そして微笑ましく羨ましい。2人はご飯を共有しながら、少しずつ親しくなっていく。

 現実では、防犯上からも、2人のような関係を築き上げるのはかなり難しい。しかし、たまに集まって一緒にご飯を食べる仲間くらいなら作れるのではないだろうか? 自分1人のために作るより、誰か食べてくれる人がいる方が、作る側も何倍も楽しい。みんなで外食するのも同じ物を食べていることに変わりはないが、作った料理を共有すると、それとは比べ物にならない特別さを感じられる。そしてそういう仲間が持てるというのは、とても幸せなことだと筆者は思う。

 いつも1人で食べていて、食事がなんだか味気ないと感じている人は、まずはお菓子あたりから共有してみよう。一緒に食べなくても、荻野のようにただ渡すだけでいい。そして料理キャラが定着したら、「うちでご飯食べない?」と人を集めてみよう。きっと作った側も、招かれた側も、いつもより幸せな一時を過ごせるはず。

文=月乃雫

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