ピカチュウの10まんボルトを人間が受けても無事な理由ついに解明www

「『ポケットモンスター』のサトシは、ピカチュウの“10まんボルト”を食らっても無事です。なぜですか?」という読者からのギモンに、WEBマガジン「週刊ジョージア」で空想科学研究所の柳田理科雄が答えた!

ピカチュウの10まんボルトを人間が受けても平気な理由判明!
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P.N.ゆーあーるさん、質問ありがとう!

家庭用の電源の電圧は100V。

高圧送電線が6600V。

工場などに送電される特別高圧線が2万2000V。

10万Vは、これらよりはるかに高い。

これを、ピカチュウはゲームでは敵のポケモンに浴びせ、アニメではロケット団に食らわせる。

何かの拍子にサトシが受けてしまうこともある。

なのに、誰も死なない!

なぜだろうか。

10万Vの威力とは?

人間が10万Vを食らったら、どうなってしまうのか。

「世界大百科事典」(平凡社)のデータを基に計算すると、人が感電して呼吸マヒを起こす電圧は、体が乾いている場合で1500V、濡れていたら150V。

ここから、人はどんな状況でも、1500Vで死に至ると考えていいだろう。

ピカチュウの10万Vとは、その67倍だ。

感電によるダメージは、電圧の2乗に比例するから、致死限界の67×67=4400倍!

実際にどうなるのかを計算してみると、全身の水分が0.5秒で沸騰します。

ひ~、オソロシか~。

しかし、ゲームでもポケモンたちは悪くて「ひんし」になるだけ。

アニメでも誰も死なず、翌週は元気に現れる。

いったいなぜなのか?

それは、ピカチュウの電撃が「空中放電」だからかもしれない。

空気は電気を流さないが、電圧が上がっていくと、ある限界を超えた瞬間に、一気にバン!と流れる。

これが「空中放電」で、代表的なものに雷がある。

だが、空中放電が起こるためには、莫大な電圧が必要だ。

距離1mにつき、なんと50万V。

――ということは、電圧が10万Vなら、電撃はわずか20cmしか飛ばないことになる!

「死なない距離」がある!

ところが、アニメなど劇中の描写を見ると、ピカチュウの電撃は、少なくとも5mほど飛んでいる。

これを実現するのに必要な電圧は、50万V×5m=250万V。

ここから考えると、5mも放電できるピカチュウの電撃は、10万Vどころか、250万Vくらいあるはずなのだ!

すると、いよいよ皆さんの命が危ない。

――という気がするが、実はわれわれも日常生活で1500Vを超える電撃を受けることがしばしばある。

たとえば冬、指とドアノブなどの間にバチッと飛ぶ静電気。あの電圧は、なんと1万Vもあるのだ。

【図解】現実世界にも「1まんボルト」で人間を攻撃する“アイツ”が…。
  • 【図解】現実世界にも「1まんボルト」で人間を攻撃する“アイツ”が…。

それでもわれわれが死なないのは、1万Vというのは「指とドアノブとの間の電圧」であり、体にかかる電圧ではないから。

先ほどから言っている「致死限界1500V」とは、たとえば「頭と足」や「右手と左足」の間に1500Vの電圧がかかれば、死亡するということだ。

雷の電圧は2億Vといわれるが、それも「雷雲と地面の間の電圧」で、落雷を受けた人の体に2億Vもの電圧がかかることはない。

電圧の大半は、稲妻が空中を飛ぶのに消費されるのだ。

ピカチュウの電撃も同じで、250万Vの電撃を放っても、距離が遠ければ遠いほど、電圧は空気中を飛ぶのに消費されてしまう。

ロケット団が死なないところをみると、彼らの体には1500V以下しかかかっていないはずだ。

その場合、ピカチュウの電撃が250万Vだとすれば、残りの249万8500Vは、空中を飛ぶのに消費されていることになる。

それだけの電圧を消費する距離とは、4m99cm7mm!

これより近いと、ロケット団の人々には1500V以上の電圧がかかってしまい、命がキケンである。

それより遠いと、電撃はロケット団に届かない。

彼らが電撃を浴びながら、しかも生きているということは、ムサシとコジロウとニャースは、

「ピカチュウから4m99cm7mm以上、5m以下」

という位置に、いることに他ならない。

許される誤差は、たったの3mm!

毎度毎度、運がいいなあ。

と喜んでいいのは、ロケット団だけ。

いつも近くにいるどころか、肩にピカチュウを乗せたりしているサトシはどうなる!?

とっても心配だが、これはもう超人的な耐電体質なのだろうなあ。

(※この記事は「週刊ジョージア」の「空想科学ラボ」から抜粋したものです。全文はオリジナルサイト<https://weekly-g.jp>でご覧いただけます。質問も募集中!)【週刊ジョージア】

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著/柳田理科雄(やなぎた・りかお)●空想科学研究所主任研究員。代表作に「空想科学読本」シリーズ。また、各地での講演、ラジオ・TV番組への出演なども精力的に行っている。

関連書籍/「空想科学読本」(KADOKAWA)●漫画やアニメの世界の出来事を科学的に検証するベストセラーシリーズ。17弾は「絶対にやりたくない無謀な特訓ランキング」「とんでもないお金持ちランキング」など。予想もしなかった爆笑の結論が続々!

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