遺体の“爪”で夫と判断…。『沈まぬ太陽』が描く飛行機事故の惨劇

主演の渡辺謙は、原作者の山崎豊子にラブコールして企業戦士・恩地役を勝ちとった
  • 主演の渡辺謙は、原作者の山崎豊子にラブコールして企業戦士・恩地役を勝ちとった

映画『沈まぬ太陽』(10月24日公開)を見ると、飛行機事故のむごたらしさを目の当たりにする。主演の渡辺謙は、セットとはいえ、遺体安置場の約300基の棺やその上に置かれた遺品を見たとき、思わず後ずさりしたそうだが、確かにその光景は異様な重苦しい空気を放つ。

本作は「白い巨塔」、「華麗なる一族」、現在テレビドラマが放映中の「不毛地帯」などで知られる国民的作家・山崎豊子の同名小説の映画化作品だ。映画は“フィクション”を前提にしながらも、題材となった御巣鷹山の日航機墜落事故の惨劇を実に生々しく再現している。

墜落事故後、遺族たちは300基もの棺から自分の身内を探していくが、五体満足な遺体なんてそうそうない。歯形や近くにあった遺品などを手掛かりに見つけていく。中には焼け焦げた片腕の“爪”だけを見て自分の夫だと判断した女性もいた。「私にはわかるんです。きれいな爪でしょ」と泣き崩れる姿が、いまも頭から離れない。

また、遺品の鍵の先がぐにゃりと曲がっていたのも印象的だった。小さな金属片でさえ、墜落時の衝撃とその後の灼熱地獄を静かに物語っているのだ。

そんな事故の惨劇を細部まで伝える本作。山崎豊子は「この作品の映画化を見るまでは決して死ぬことは出来ない」と言っていたが、気骨ある作家の小説が、いま気骨ある映画に仕上がった、という感じだ。原作者含めての熱い思いをスクリーンから受け取って。【Movie Walker/山崎伸子】

※上映時間:3時間22分 10分間の途中休憩あり

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